・何が違うのか。
日本でずっと生活できるという点では,帰化と永住許可に大した違いはありません。
ただし,「永住許可」は日本国籍を取得することなく日本で定住することを目的とするのに対して,
「帰化」は,外国人が日本国籍を取得することを目的としています。
つまり,両者の大きな違いは,日本国籍取得の有無にあるのです。
永住権とは、外国人が在留期間を制限されることなく、日本で住み続ける権利のことです。
日本における滞在年数などの条件をクリアした上で入国管理局に対して永住許可申請を行います。
永住権を得ても、日本の国籍を取得するわけではないので、選挙権はなく、一部を除いて公務員への就職はできません。
なお、永住許可を取得していても、再入国許可を取得しないまま1年を超えて日本を離れた場合には、
永住権を取り消されることになります。犯罪等で永住権を取消しとなる場合があります。
これに対し帰化とは、外国人が日本の国籍を取得することです。
日本に帰化する場合には、日本国籍を得る一方で母国の国籍を放棄することになります。
帰化すると国籍上日本人となり選挙権を持ち、就労その他全般において日本人と同様の権利が与えられる一方で母国では外国人となります。
①居住期間
帰化の場合5年以上日本に居住しており、そのうち3年以上労働していること(アルバイト除く)
永住の場合10年以上の日本に居住しており、そのうち5年以上労働していること(アルバイト除く)
②出国によるリセット(上記①の期間の計算)
帰化の場合1回90日を超えるか、1年で100日を超えて出国していると期間の通算がリセット
長期の里帰り出産や会社命令による赴任も認められません。
永住の場合には、基本的に上記と同じものの、里帰り出産、看病、会社命令での赴任などの事情は斟酌してくれる
場合があります。
③年金、税金、保険のなどの支払い状況
帰化の場合、健康保険は見られず、年金・税金についても1年分をさかのぼって支払う事で、過去の滞納については
リカバリー可能です。
永住の場合には、納期限をまもって支払ってきたかを重視され、健康保険も確認対象になります。
永住申請の場合には前もって口座引き落としを徹底する必要があります。
(通帳のコピーなどを提出)
先ほど説明したように、帰化制度と永住許可の違いは、外国人が日本の国籍を取得できるかにあります。
日本国民として生活していく制度ですので,当然、永住許可よりも更に厳格な要件・手続が必要となります。
簡単に挙げるだけでも,①住居,②喪失,③素行,④日本語能力,……⑦。
これらの要件をクリアしていることを証明するために,100ページにも及ぶ資料を提出することもあるのです。
これだけ手続きが大変であるのに,毎年多くの外国人が帰化の申請をするのは,手続の煩雑さを超えるメリットが日本国籍の取得にあるからです。
① 参政権が得られる
選挙権・被選挙権は,日本国民にのみ認められた権利です。
選挙権・被選挙権については,公職選挙法に以下のように規定されています。
公職選挙法
9条1項「日本国民で年齢満十八年以上の者は,衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。」
10条1項「日本国民は,左の各号の区分に従い,それぞれ当該議員又は長の被選挙権を有する。」
永住許可では,日本国籍の取得はできませんので,日本国民にのみ認められる参政権は認められません。
(※地方選挙については,永住外国人の参政権を認めている自治体も一部あります。)。
帰化 であれば,日本国籍の取得により「日本国民」となりますので,参政権も認められます。
② 在留手続が不要になる
帰化することで一番恩恵を感じることと言えばこれでしょう。
帰化により一度日本国籍を取得してしまえば,在留カードの更新や,再入国の手続が不要となります。
他にも、日本のパスポートを取得することもできますので,在留カードを常に携帯する必要もなくなり,パスポートによって身分を証明することも可能です。また,日本のパスポートは海外旅行の際にVISA不要で入国できる国が多いことから,海外旅行がしやすいというメリットもあります。
それ以外にも、
③ 日本の戸籍を持つことができる
④ 取り消されることがない
等々、帰化は、永住者では得られない特別なメリットがあります。
その一方で,帰化をするには,母国である外国国籍を離脱しなければなりません。
そのため,母国の選挙権や社会保障を受ける権利を失う可能性もあるので,この点は注意が必要です。