経営管理ビザ 誤りやすい事例集

CASE1)事務所の賃貸借契約書の不備

 

会社の事務所としてアパートの一室を契約しビザの申請をしたところ、 

契約書の使用目的が住宅となっていたため、 ビザ申請が不許可となりました。
⇒契約書の訂正後、再申請を行い許可されました。

 

 

CASE2)PC、座席などの写真の重要性

 

会社を設立し事務所内の写真を添付してビザ申請したところ、

机の上にPCが置いていないこと、及び従業員数に対して机の数が

少なく見えることからいったん不許可となり、

写真を取り直して再申請したところ、許可がおりました。

 

 

CASE3)事務所の境界・電話番号の重要性

 

知人の会社の事務所内に新たに会社を設立し、ビザ申請したところ、

知人の会社との境界が不明瞭であること、

電話番号が知人の会社と同じであることを理由に不許可となりました。

間仕切りにより境界を明確にしたうえで賃貸借契約書を締結し、

独自の電話番号を取得し再申請したところ、許可となりました。

また、事務所賃貸借契約書に印紙が貼っていなかったことにより入国管理局から

指摘を受けたこともあります。

 

 

CASE4)住宅兼事務所が認められた事例

 

会社設立して経営管理ビザを申請するにあたり、自宅の一部を会社事務所として本店登記し、自宅用とは別に事務所用の玄関(入口)と表札を設けたところ、ビザが許可されました。

 

 

CASE5)資本金の資金の源泉を疑われた事例

 

経営管理ビザ申請のため資本金500万で法人設立しビザ申請したところ、

社長の年収が360万であるのに対し扶養親族が3名いたことから、

本当に自分で用意した資金なのか入国管理局から質問を受けました。

預金通帳のコピー及び毎月の生活費・学費・家賃等の状況を詳細に説明したところ、

ビザ許可となりました。

※社長の課税証明・納税証明の添付を求められることがあります。

 

 


 

CASE6)来日したことがない外国人社長のビザ申請

 

来日したことがなく、本国での会社経営経験もない方のビザ申請をしたところ、

事業計画は綿密に作っていたにも関わらず事業の安定性を欠くという理由から不許可となりました。日本である程度の実績のある人物(日本人)を株主・役員に追加し、資本金を増額し再申請したところ、ようやく許可となりました。

 

 

CASE7)雇用契約書の添付

 

会社設立とビザ申請に際して従業員の雇用契約書を添付したところ、労働時間が法定時間(週40時間)を超えている、

また、事業内容に対して従業員数が不足しているとして不許可となりました。

雇用契約書を作成し直すとともに、これから採用予定の人員に関し「経営管理ビザが許可された際には速やかに従業員を確保します」と一筆いれて再申請したところ、許可となりました。

 

 

CASE8)事業計画に対する指摘

 

事業計画において仕入れルート・販売ルートの参考資料として販売に関する基本契約書を添付したところ、入管から「商品価格が常に一定で契約するのは不自然である」と指摘を受けました。「市場価格その他の経済状況に応じ、価格改訂を協議する」旨を契約に追記し、

許可となりました。

 

 

CASE9)不動産投資業での経営管理ビザ取得

 

社長ご自身の不動産投資に関する他国を含む実績、保有不動産・金融資産の明細、

各物件の利回り・時価評価額等のサマリー、社長が不動産投資に関してどのような業務を日本で行う予定かについての疎明資料を用意しビザ申請したところ、物件の一部が民泊利用の予定であるが、事業計画上年間180日超の稼働が予定されているのではないかと指摘を受けました。

日本では2018年に民泊新法が施行され、年間180日超の営業はできません。

また、旅館業許可または民泊新法の届出済み証が必須となります。

これらの書類を用意して申請したところ、許可となりました。

 

 

CASE10)留学生が経営管理ビザを申請

 

日本の大学に留学した後、社会人経験がないままで経営管理ビザを申請したところ、

経営の安定性を欠くという理由から不許可となりました。

事業の開始に際してどのような準備を行い、どのような関係者と打ち合わせを行ったかについて業務日誌形式で記載し数十ページに渡る疎明資料を添付したところ、

ようやく許可となりました。

(得意先・仕入先との商談、税理士事務所との打合せ、事務所用備品の購入、必要な許認可の申請や資格の取得、身元保証人になってくれた日本人とどの様に信頼関係を築いたか、

 

 

過去のアルバイト先で今回の事業に関するヒントを得た経緯、などを日誌形式で作成しました。)

CASE11)既存法人への500万増資で経営管理ビザ取得が可能か

 

Q 日本人の経営する既存法人へ500万追加出資し役員になってもらうことにより、

経営管理ビザの在留資格の認定を受けることが可能でしょうか。

 

A 現在は経営管理ビザですので外資である必要はありません。

出資無しで役員として経営管理ビザの場合には企業規模が要求されますが、

500万出資とのことですので本国での経歴、本国通帳コピー、海外送金書類があれば

経営管理ビザが取得できる可能性は高いものと思われます。

 

送金目的は銀行の書式により有無が異なりますが、「生活費」等の送金目的を

入国管理局はチェックしています。

 

その他、経営管理ビザの不許可事例

・会社の役員が複数名ある、または、申請人が複数社の役員を務めているなど

の理由から、それぞれの役割について必要性が不明確であった事例

 

・資本金の源泉について疑義が認められた事例

 

・従業員が雇用されておらず、実務を行うのか経営を行うのかが不透明である事例

 

・留学中の出席率が低い場合、週28時間以上のアルバイトで摘発された経歴がある場合 


経営管理ビザの更新と決算報告書の関係性(重用性)

入管(入国管理局)の着目する決算書の審査ポイントは一言でいえば「事業実態の有無」と「十分な事業規模か」の2点につきるのだと思います。

 

事業実態の有無

 → 決算書のみならず、勘定科目内訳書・概況書を添付し、

   どこの住所にある事務所を誰から何時から何時までの期間賃借していたのか

   従業員のうちに親族はいるのか、親族以外の従業員が何名おり、

   どのくらいの給与を支払ったのか、といった具体的な事業実態の証明をすることが大事

 

十分な事業規模か

 → 売上高、給料手当、地代家賃といった科目の金額で判断

   社長1人がようやく食べていける程度の規模(最低限度として売上1000万、

   家賃120万以上)なのか、ほかの人の雇用をも支え日本社会に貢献しているのか

   (売上5000万、家賃240万、給与1000万)、

   これによりビザの更新期間(1年OR3年)が変わってきます。

 

   損益計算書(PL)で言えば、

   「売上高、給料手当、地代家賃」この3つの勘定科目は非常に重要です。

 

事務所(オフィス)と住居・現場労働の場所は別でなければならない

 

事業実態を明確に確認したいため、入国管理局は、社長個人の住所と、

会社の本店所在地が別であることを求めます。

同じ建物の中の別室、別の階でも審査が通ることはあるようです。代表取締役社長は

現場労働が出来ません。経営管理を専担するための在留資格なのです。 

 

社長の来日前(在留資格の認定前)に役員報酬を出してはいけない

 

基本的に投資経営ビザ(経営管理ビザ)がおりて社長が来日するまでは、役員報酬の支払いは行わないほうがよいでしょう。

税理士的には、なぜ自分の会社から役員報酬を払うのを入国管理局にとやかく言われるのだろう?

と不思議極まりないですが、

行政書士さんたちの間では常識です。

理屈としては「この会社は日本でのビジネスのための会社なので社長が来日していない段階で役員報酬が出るのはおかしい(来日前でも実務が回るなら入国の必要性なし)」ということのようです、

 

税理士的には、「え?外国にいたって経営上の指示はするでしょう?いまどき何を?」と思ってしまいますが、

入国管理局の審査上、ここは外してはいけないポイントになっています(いるようです)。

 

ちなみに、税理士としては法人税法の定期同額給与との兼ね合いが非常に気がかりですが、

下記の情報がご参考になるかと思います。

ここをめぐって税理士と行政書士の意見が対立してケンカになった(そしてお客様が困ってしまった)という話を何回か聞きました・・・汗

行政書士「来日したら役員報酬を出しましょうね(出さないと来年ビザ更新できないし)」

税理士 「ちょっと待って、役員報酬は年度単位で決めるものですよ!?変なタイミングで支給を開始すると経費として認められなくなるよ?」こんなやり取りです。

役員報酬税制が変わって数年、国税庁の公式見解は 出ていませんが、下記の解釈が参考になります。

 

定期同額給与について

 法人設立に当たっては、取締役の職務執行は就任を承諾した設立当初から開始さ

れるものと解されますので、当該職務執行の対価である役員給与の支給については、

設立総会において当該事業年度における事業計画をも踏まえて決定されるべきものと考えます。

 一方で、設立はなされたものの、例えば許認可等が下りるまでは営業活動ができ

ない状況にある等社会通念上やむを得ず休業状態にせざるを得ない状況下も考え

られますが、こうした状況にあっては、営業活動ができ得る状態になった時点で臨

時株主総会等により定期給与の支給額について決議を行うことは、定期給与の額の

改訂ではなく、新たな定期給与の額の制定であるとして解する考え方もあり、こう

した考え方に従えば、支給決議後における当該事業年度の各支給時期における支給

額が同額であるものについては、定期同額給与に該当するものと解して差し支えな

いものと考えます。